マナテックはなぜ年商50億円から20億円まで縮小したのか?

マナテックジャパンは、「糖質栄養素」という独自の健康コンセプトを掲げ、サプリメントを中心に展開しているネットワークビジネス企業です。

米国のマナテックは1993年に創業し、日本法人は2000年に営業を開始しました。

日本市場では、主力製品「アンブロトース」を中心に売上を伸ばし、2007年には過去最高となる年商約50億円を記録しています。

しかし、その後は業績が低迷し、2015年時点では売上高が約20億円、2016年12月期は19億円でした。

ピーク時と比べると、売上規模はおよそ6割減少したことになります。

最近は増収傾向も報告されていますが、国内の正確な最新売上高は公表されていません。

では、なぜマナテックジャパンは、年商50億円から20億円前後の規模まで縮小したのでしょうか。

今回は、マナテックジャパンの売上推移と、減少した背景をできるだけ客観的に分析します。

目次

マナテックジャパンの過去最高年商は約50億円

マナテックジャパンは、2000年に日本で営業を開始しました。

日本流通産業新聞の取材によると、国内売上高は2007年に約50億円を記録し、これがピークとなっています。

その後は業績が低迷し、2015年には約20億円まで縮小しました。

2016年12月期は、前年比10%増となる19億円を記録しています。

数字だけを見ると、

  • 2007年:約50億円
  • 2015年:約20億円
  • 2016年:19億円

という推移になります。

少し分かりにくいのは、2015年が「約20億円」と丸められた数字であるのに対して、2016年が19億円という具体的な数字で公表されている点です。

2016年は前年比10%増と説明されているため、実際の2015年売上は約17億円台だったと考えられます。

つまり「2015年に約20億円」という表現は、おおよその売上規模を示したものと見るのが適切でしょう。

現在の年商はいくらなのか

マナテックジャパンは、最近の国内売上高を公式サイトで公表していません。

確認できる情報では、2022年12月期は増収が見込まれ、2023年12月期も売上が前期より数%増加したとされています。

新規会員数も、2022年、2023年と2年連続で前年を上回ったと報じられています。

ただし、具体的に「何億円だったのか」は明らかにされていません。

そのため、現在の年商を断定することはできません。

過去に公表された19億円という数字と、その後の増収報道を踏まえると、国内事業は20億円前後の規模で推移している可能性があります。

しかし、これは公開情報からの推測であり、会社が公表した最新確定値ではありません。

正確に表現するなら、

「過去最高は約50億円。近年の正確な売上高は非公表だが、公開情報からは20億円前後の事業規模とみられる」

という言い方が安全です。

理由1 糖質栄養素ブームが一巡した

マナテックの最大の特徴は、「糖質栄養素」や「糖鎖」という健康コンセプトです。

主力商品であるアンブロトースは、アロエなどの植物由来原料を使った栄養補助食品で、一般的なビタミンやミネラルとは異なる新しい栄養概念として紹介されました。

日本上陸当初、この考え方には非常に強い新鮮さがありました。

当時は現在ほどインターネット情報が豊富ではなく、糖鎖や糖質栄養素という言葉を初めて知る人がほとんどでした。

「これまで知られていなかった新しい栄養」

「健康を支える重要な成分」

「米国から上陸した最先端の健康商品」

という物語は、口コミで広がりやすいテーマでした。

しかし、どのような健康ブームも永遠には続きません。

一度多くの人に情報が行き渡ると、新鮮さは薄れていきます。

すでに説明を受けた人や、購入経験のある人も増えます。

新しい市場を開拓する速度よりも、既存会員の購入中止や活動停止のほうが多くなれば、売上は徐々に縮小します。

マナテックの売上減少には、糖質栄養素という独自コンセプトのブームが一巡したことが関係していると考えられます。

理由2 商品の健康効果を伝えることが難しい

マナテックの商品は、一般的なサプリメントとは異なり、「糖鎖」「糖質栄養素」という専門的な考え方を説明する必要があります。

この独自性は大きな強みですが、同時に難しさもあります。

消費者に商品の価値を理解してもらうには、

  • 糖鎖とは何か
  • 糖質栄養素とは何か
  • 一般的な糖質と何が違うのか
  • なぜサプリメントで補う必要があるのか
  • どのような研究があるのか

などを説明しなければなりません。

説明が複雑になるほど、販売者が分かりやすく伝えようとして、表現を強くしてしまう危険があります。

健康食品は医薬品ではないため、病気の治療や改善を断定することはできません。

ところが、商品の健康価値を強調しすぎると、

「この病気に効く」

「これを飲めば症状が改善する」

「薬を減らせる」

といった医薬品的な説明につながるおそれがあります。

マナテック米国本社は過去に、販売員による疾病関連の表現や製品の表示を巡り、米国当局や州政府から指摘を受けています。

会社がコンプライアンスを強化すると、販売員が以前のような強い健康訴求を使えなくなります。

これは消費者保護のために当然必要なことですが、商品の魅力を伝える難易度は上がります。

「劇的な健康効果」を期待させる説明に頼っていた組織ほど、正しい表現へ切り替えた後に販売力が落ちやすくなります。

理由3 米国本社の信用問題が世界市場へ影響した

マナテックの世界事業にとって、大きな転換点となったのが2000年代後半です。

米国では、販売員による疾病に関する商品説明やマーケティング手法が問題視されました。

2007年にはテキサス州司法長官が、マナテックや当時の経営関係者を相手に訴訟を起こしています。

その後、2009年に和解が成立しました。

会社側は不正行為を認めてはいませんが、顧客への返金や州への支払いを行い、創業者も一定期間、会社の経営上の役職から離れる条件に合意しました。

米国でこうした問題が大きく報道されると、その影響は米国内だけにとどまりません。

日本の見込み客もインターネットで検索すれば、本社に関する過去の訴訟や批判的な情報を確認できます。

販売員が商品の安全性や会社の信頼性を説明する際にも、以前より慎重な対応が必要になります。

興味を持った人が会社名を検索し、否定的な記事を読んで登録を見送ることもあります。

2007年は、偶然にもマナテックジャパンが国内最高売上を記録した年です。

その後、米国本社を巡る問題が表面化した時期と、日本法人の売上低下の時期が重なっています。

すべての減収が訴訟だけで説明できるわけではありませんが、ブランドイメージに与えた影響は無視できないでしょう。

理由4 米国本社の世界売上も長期的に減少した

マナテックジャパンだけではなく、米国本社を含むマナテックグループ全体も、長期的には売上を減らしています。

近年の世界売上高は、次のように推移しています。

  • 2021年:約1億5,976万ドル
  • 2022年:約1億3,721万ドル
  • 2023年:約1億3,196万ドル
  • 2024年:約1億1,787万ドル
  • 2025年:約1億800万ドル

2021年から2025年までの4年間で、世界売上は約32%減少しました。

2025年だけを見ても、前年比8.3%の減収です。

会社は、為替変動も売上減少に影響したと説明しています。

ただし、為替の影響を除いても売上は前年比6.8%減少しており、事業そのものが縮小していることが分かります。

日本法人だけが特別に苦戦しているのではありません。

マナテックという企業全体が、世界的に顧客数や販売組織を維持する難しさに直面しています。

本社の売上が縮小すれば、商品開発、広告、イベント、システム投資などに使える資金にも影響します。

日本市場の成長にも、間接的な影響を与える可能性があります。

理由5 主力商品への依存度が高かった

マナテックジャパンの売上は、健康食品に大きく依存しています。

2016年時点では、売上の約8割をニュートリション製品が占めていました。

ウェイト&フィットネスとスキンケアは、それぞれ約1割です。

つまり、マナテックジャパンは実質的に、健康食品を中心とした会社です。

その中でも、アンブロトースは会社の象徴的な主力商品です。

強い主力商品があることは大きな長所ですが、その商品の成長が止まると会社全体の売上も伸びにくくなります。

例えば、

  • 長期愛用者が購入をやめる
  • 価格負担から使用量を減らす
  • 新しい健康トレンドへ関心が移る
  • 類似した目的の商品へ乗り換える
  • 商品コンセプトに新鮮さを感じなくなる

といった変化が起きます。

スキンケアやダイエット関連商品が成長し、健康食品の減少を補うことができれば、会社全体の売上は維持できます。

しかし、健康食品が売上の8割を占める構造では、主力商品の減少を他部門だけで補うことは簡単ではありません。

理由6 サプリメント市場の競争が激しくなった

マナテックが日本へ進出した2000年頃と比べ、健康食品市場は大きく変わりました。

現在では、ドラッグストア、通販、Amazon、楽天、iHerb、SNSなどを通じて、国内外のサプリメントを簡単に購入できます。

消費者の関心も多様化しています。

  • プロテイン
  • 腸活
  • 乳酸菌
  • NMN
  • オメガ3
  • 睡眠サポート
  • 血糖値対策
  • 機能性表示食品
  • 美容サプリメント
  • パーソナライズ栄養

など、多くの選択肢があります。

消費者は、価格、成分量、研究データ、口コミを簡単に比較できます。

マナテックの商品が悪くなったというより、競争相手が圧倒的に増えたのです。

以前は「糖質栄養素」という珍しい言葉だけで関心を集められたかもしれません。

しかし現在は、消費者が「具体的に何が入っているのか」「価格に見合うのか」「他の商品とどう違うのか」を詳しく調べます。

独自のストーリーだけではなく、客観的な比較に耐えられる説明が必要になっています。

理由7 商品の価格と継続購入の負担

ネットワークビジネスの商品は、一般の小売商品より価格が高いと感じられることがあります。

商品代金には、原材料費、研究開発費、物流費、会社の利益だけでなく、会員への報酬原資も含まれています。

品質に満足している人にとっては、価格に納得できるかもしれません。

しかし、毎月継続して購入するとなると、家計への負担になります。

特に近年は、食品、光熱費、社会保険料などが上昇しています。

家計に余裕がなくなると、消費者は固定的な支出を見直します。

サプリメントは医薬品と違い、購入を中止してもすぐに生活できなくなる商品ではありません。

そのため節約時には、

  • 購入する商品を減らす
  • 飲む量を減らす
  • 定期購入を休止する
  • 安価な商品へ乗り換える

といった行動が起こりやすくなります。

新しい会員が増えない状態で、既存愛用者の購入額が少しずつ減れば、売上は長期的に縮小します。

理由8 製品愛用者は多くても、ビジネス活動者が増えにくかった

マナテックジャパンについて、2017年の業界紙インタビューでは、「熱心な製品愛用者が多い一方で、ビジネスとして取り組む人が少ない」という課題が取り上げられています。

ネットワークビジネス企業にとって、愛用者が多いことは大きな強みです。

安定した商品購入があれば、売上の土台になります。

しかし、新しい市場を広げるには、商品を紹介する人も必要です。

愛用者が自分で商品を使うだけで、誰にも紹介しなければ、新規顧客は増えません。

ビジネス活動者が少ない組織では、

新規会員が増えない
↓
新しいリーダーが育たない
↓
既存組織が高齢化する
↓
活動量が落ちる
↓
愛用者へのフォローも減る
↓
解約や購入減少が増える

という循環が起こります。

マナテックジャパンは2016年当時、毎月300~400人の新規会員が増えていると説明していました。

しかし、その新規会員のうち、何人が継続購入し、何人が紹介活動を続けたのかが重要です。

登録人数だけでなく、継続率と活動率が売上を左右します。

理由9 若い世代に糖鎖の魅力が伝わりにくい

糖鎖や糖質栄養素は、健康に関心のある中高年には興味深いテーマです。

一方、若い世代にとっては、やや難しく、日常生活との関係が分かりにくい言葉でもあります。

若い消費者は、

  • 肌をきれいにしたい
  • 筋肉をつけたい
  • 体脂肪を減らしたい
  • 睡眠を改善したい
  • 腸内環境を整えたい
  • 集中力を上げたい

といった、具体的で分かりやすい目的から商品を探します。

「糖鎖を整える」「糖質栄養素を補う」といった説明は、すぐに得られるメリットが伝わりにくい場合があります。

しかも健康食品には法律上の表現制限があります。

商品の魅力を強く説明しすぎれば、疾病改善の暗示や誇大表現になるおそれがあります。

逆に慎重に説明すると、何のための商品なのかが分かりにくくなります。

独自性が高いからこそ、正しく、分かりやすく伝えることが難しい商品なのです。

理由10 従来型の口コミ勧誘が難しくなった

マナテックが成長した2000年代前半は、対面の口コミ活動が強い時代でした。

知人へ連絡する。

健康の話をする。

製品説明会へ誘う。

アップやリーダーに説明してもらう。

商品を体験してもらう。

こうした流れが一般的でした。

しかし現在は、突然の勧誘や目的を明らかにしないアポイントに対して、消費者が強い警戒感を持っています。

会社名を検索すれば、商品の情報だけでなく、口コミ、批判、訴訟、過去の健康表現に関する問題なども表示されます。

SNSで集客しようとしても、単に商品写真や体験談を投稿するだけでは信頼されません。

さらに、健康食品の体験談は、薬機法、景品表示法、特定商取引法などにも注意する必要があります。

「飲んだら病気が治った」

「医師に驚かれた」

「薬がいらなくなった」

といった説明はできません。

従来の口コミ活動が難しくなった一方で、新しいデジタル集客へ十分に移行できなければ、新規顧客の獲得力は低下します。

マナテックは今も落ち続けているのか

マナテックジャパンについては、最近も一方的に売上が落ち続けているとは限りません。

2022年は増収が見込まれ、2023年も前期より数%増えたと報じられています。

新規会員数も2年連続で増加したとされています。

会社は、本社併設の「マナテックサロン東京」を設け、新製品、キャンペーン、インセンティブなどを活用して組織の活性化を進めています。

したがって、現在のマナテックジャパンは、

「50億円から現在までずっと下落している会社」

というより、

「2007年のピークから大きく縮小した後、20億円前後とみられる規模で再成長を模索している会社」

と見るほうが公平です。

ただし、米国本社の世界売上は近年も減少しています。

日本法人が増収していたとしても、世界事業全体の縮小というリスクは残っています。

マナテックの商品が悪いから売上が落ちたのか

売上減少を、商品の品質だけで説明するのは適切ではありません。

マナテックには長期愛用者が存在し、アンブロトースをはじめとする商品を高く評価している人もいます。

日本法人も現在まで25年以上事業を継続しています。

一方で、商品がよいことと、会社の売上が伸びることは別問題です。

どれほど愛用者の満足度が高くても、

  • 新規顧客が増えない
  • 商品を紹介する人が増えない
  • 若いリーダーが育たない
  • 既存会員が高齢化する
  • 購入者が価格負担を感じる
  • 健康表現を正しく管理できない
  • 会社の過去の問題が検索される

という状態では、売上は伸びにくくなります。

マナテックの売上減少は、商品の良し悪しだけではなく、商品コンセプト、伝え方、組織づくり、ブランドイメージ、市場環境が組み合わさった結果と考えるべきでしょう。

マナテックジャパンが再成長するために必要なこと

マナテックジャパンが再成長するには、2007年の成功モデルをそのまま再現するのではなく、新しい顧客層に合った伝え方が必要です。

最も重要なのは、糖鎖や糖質栄養素を、科学的な範囲内で分かりやすく説明することです。

専門用語を並べるだけでは、一般消費者には伝わりません。

一方、商品の価値を強調しようとして、病気や症状の改善を暗示することも許されません。

会社と会員には、

  • 医薬品的な効果を語らない
  • 個人の体験談を一般化しない
  • 研究結果を誇張しない
  • 商品の限界も説明する
  • 購入しない自由を尊重する
  • ビジネス目的を最初から明らかにする

という姿勢が必要です。

また、ビジネス参加者だけでなく、商品だけを使いたい愛用者を大切にする仕組みも重要です。

購入した人をすぐに勧誘するのではなく、商品情報、栄養、生活習慣などのサポートを提供し、顧客満足度を高める。

SNSでは商品の宣伝ばかりを行うのではなく、健康に役立つ情報を発信する。

対面、オンライン、コミュニティーを組み合わせ、一人ひとりのペースを尊重する。

こうした活動へ変わることが、長期的な信頼回復と成長につながります。

年商50億円から20億円前後への縮小が教えてくれること

マナテックジャパンの過去最高年商は、2007年の約50億円です。

その後、2015年には約20億円規模まで縮小し、2016年12月期は19億円でした。

最近の正確な売上高は公表されていませんが、2022年、2023年には増収傾向が報じられています。

売上がピークから大きく減少した背景には、

  • 糖質栄養素ブームの一巡。
  • 米国本社を巡る訴訟や健康表示問題。
  • 世界売上の縮小。
  • 主力商品への依存。
  • サプリメント市場の競争激化。
  • 商品の価格と継続購入負担。
  • ビジネス活動者の不足。
  • 会員組織の成熟と高齢化。
  • 若い世代への訴求力不足。
  • 従来型の口コミ勧誘の限界。

といった複数の要因があります。

マナテックの事例が示しているのは、独自性の高い商品があれば、永遠に売上を維持できるわけではないということです。

商品が珍しい時代から、商品を比較される時代へ。

強い体験談で売る時代から、根拠とコンプライアンスが求められる時代へ。

知人を追いかける活動から、必要な人に情報を届ける活動へ。

マナテックジャパンが再び成長できるかどうかは、アンブロトースという主力商品の力だけでは決まりません。

過去の成功体験に依存せず、科学的で誠実な情報発信と、時代に合った顧客づくりへ変化できるか。

そこが、今後の大きなポイントになるのではないでしょうか。

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